
Research topics
ハイパフォーマンス・コンピュ-ティングのためのミドルウェア
ハイエンド計算ミドルウェア(HEC-MW)援用構造解析システムによる汎用連成シミュレーションシステム
実機マルチフィジクス問題の解析に必要なソフトウェア(とくに構造解析部分)の機能に留意しつつ、ハイエンド計算機環境におけるマルチフィジクス有限要素法ソフトウェアの新規開発、および、既存ソフトウェアのハイエンド計算機環境への適用、を効率的に支援するライブラリ群(HEC-MW)を開発・公開する。
並列有限要素解析コードの開発プラットフォームに関する研究
数値解析が研究、設計の手法として確立しつつある現在、対象の複雑化、大規模化に伴い並列計算が不可欠の技術となっている。しかし,並列計算には領域分割、通信などの特有の技術が必要であり、その導入の障害となっている。また、高い並列性能を実現するには計算機アーキテクチャごとの最適化が必要なことも普及を妨げる要因の一つである。このような背景を鑑み、並列有限要素法解析コードの開発支援プラットフォームの開発を行う。
超並列コンピュータを利用した大規模シミュレーション
前処理付き非線形共役勾配法の開発と実空間密度汎関数法への適用
非線形共役勾配法の新たな前処理を提案し、高速でロバストな非線形方程式解法を開発する。さらに、地球シミュレータ上での最適化および密度汎関数法への適用を通じて、本手法の有効性を検証する。
タンパク質立体構造予測計算の高速化に関する研究
タンパク質分子は生理環境下で特定の立体構造に折り畳まれ、その分子の持つ生化学的機能と立体構造は密接に関係する。超並列計算機を駆使することで、既知タンパク質の構造情報を利用することのない、タンパク質の折り畳みシミュレーションによる立体構造予測を目指す。
コンピュータグリッドの計算力学への応用
随伴変数法による形状最適化
流れ場との連成下における構造最適化を実現するため、コンピュータ、ネットワーク、ストレージなどの分散した計算資源を共有した仮想環境であるグリッド環境において、変分法に基づく随伴変数法による並列最適化手法を構築する。
大規模数値計算分野におけるグリッド・メタコンピューティングの活用
グリッドコンピューティング環境、特にCluster-of-Clusters環境における大規模有限要素解析を実用化するため、動的負荷分散手法の開発および有限要素解析に基づくグリッドアプリケーションの開発を行う。
不確実性のグリッド・メタコンピューティングに関する研究
FEM解析の大規模化に伴い、モデルや初期条件に含まれる不確実性を扱う必要性が顕在化している。従来、FEMで不確実性を扱うことは計算コストの問題から非実用的であるとされてきた。不確実性を考慮するFEMに対し、数理的な観点と計算機資源の観点の双方からの効率化を図る。
デジタル価値創出のためのミドルウェアとその応用
ハイエンドコンピューティングによる水素社会移行シミュレーション
水素社会とは、水素関連技術が幅広い分野で用いられ、それらに起因する汚染は低いレベルにとどまると考えられる世界を指す。今日の世界から水素社会までの変遷過程を水素関連技術の拡散(普及)過程としてモデル化し、その予測を行う。詳細
水素社会におけるエネルギーネットワークモデリング
持続可能性・安定したエネルギー供給の実現には、エネルギー源の資源的・地理的多様化と、非集中型発電システムの構築が必要である。水素社会における適切なエネルギーネットワークの在り方を考察するためのシミュレーション手法を開発する。
感性情報の計算科学への応用
行列可聴化による数値的性質の把握に関する研究
人間の聴覚を用いて、行列の数値的性質を把握、行列方程式の解を得る助けとするための礎として、行列を聞き取りやすい音へデータマイニングするためのルール、および音と行列の性質との対応付けについての知見を得る。
粒子法・流体シミュレーションに関する研究
高精度粒子法の計算アルゴリズムに関する基礎研究開発
高精度粒子法は登場してまだ間もない解析手法であり、実施すべき研究が多く残っている。例えば、気液二相流や液液二相流などの混相流解析、擬塑性流体や粘弾性流体などの非ニュートン流体解析、温度変化による浮力やマランゴニ効果を考慮した熱流体解析、流体と構造の連成解析などは、解析手法の拡張を必要とする未実施課題である。他にも、スケールギャップの大きな問題に対して領域ごとに空間解像度を変化させるための可変解像度技術、高粘性流体を効率的に解析するための陰的時間進行スキーム、極めて薄い液膜や液糸などの特徴的形状をもつ場合の高精度解法、分散メモリ環境およびGPUを用いた大規模並列計算、機械学習によるサロゲートモデルの構築など、様々な技術の開発が待ち望まれている。
高精度粒子法を用いた流体現象・工学問題への適用研究
高精度粒子法は高い解析精度を特徴とし、従来の手法では解析できなかった多くの問題を高い品質で解析できることがわかってきている。しかし、工学応用において実際に必要とされる解析は極めて複雑でしかも多種多様である。系に含まれる流体現象の種類、解析の条件設定、パラメータ範囲、要求精度などは解析対象および目的によって大きく異なり、個別の事例に対し解析手法の有効性を検証することが求められる。本研究室では企業との共同研究なども行っており、産業で真に役に立つ技術の開発を目指して研究活動を行っている。
研究室選択、進学、入学を検討中の学生方へ
この計算力学という学問分野では、数学や力学などの理論とPCやプログラミングなどのスキルを用いて研究を行います。一見難しそうに思われるかもしれませんが、研究に必要な専門知識は研究室に配属されてから深く学び始める学生がほとんどであり、配属前に流体力学やプログラミングに自信がなくても問題はありません。研究にとって大切なのは、知的探究心や、先入観にとらわれない柔軟な思考や、ひとつの難問に時間をかけて取り組める忍耐力です。当研究室で行っている粒子法・流体シミュレーションの研究について詳しく知りたい方、興味のある方は松永までご連絡ください。
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